写   真 一般名 科・属 説   明 経 験・感 想
代表品種
沙柳
(サリュウ)
ヤナギ科
ヤナギ属
樹高2〜5m
耐乾・耐暑・耐寒などに優れる中国三北地区に分布する落葉樹。おもに海抜750〜3000mの範囲で生息。挿し木で容易に増やすことができ、砂丘内でも挿し木で緑化できる。先駆植物としての働きが強く、他の種が繁殖してくると枯死することがある。地際から刈り取るなど、多少乱暴に扱う方が生長がよく、逆に人の手を加えないと数年で枯れることもある。刈り取ったものは穂木や家畜の飼料、パルプの原料などとして利用できる。切り株からは幹枝(萌芽)が何本も出て、さらに大きな株となる(萌芽更新)。
流動砂丘の緑化で最も効果のある植物のひとつ。当団体では流動砂丘を草方格で固定し、その中へ挿し木をしていくが、直接挿し木をするところもある。ただし私の経験上、治砂をせずただ挿したものはやはり砂の移動で多くのものが倒れてしまう。また、そういった現場を多く見てきている。ひと穴に挿す本数はまちまちであるが、私の経験上5〜8本とやや多めに、穴の中心ではなく外側に円を描くように埋めていくと大きなブッシュとなり治砂効果が高まる。2本や4本で行う人もいるが、治砂効果が薄れ、倒れる場合がある。また、やはり定期的にある程度刈り込んだほうが、植物の生長がよくなる傾向が見られる。
紅柳
(ホンリュウ)
ギョリュウ科
ギョリュウ属
樹高3〜5m
耐乾・耐暑・耐寒・耐塩性などに優れる落葉樹。中国三北地区などに分布する。「柳」という名がついているがヤナギ科の植物ではない。別名「タマリスク」。耐塩性には特に優れ、収集した過剰な塩分を体外へ排出する能力がある(泌塩塩生植物)。木質が硬くまた幹が鮮やかな紅色であるため、刈り取り薪や籠編みに利用される。切り株からは萌芽し、株が大きくなる。
流動砂丘というよりは、流動砂丘から離れたくぼ地の塩害の出ている地域でよく見かける。幹がとても赤く、冬場は特にその色が鮮やか。沙柳よりは水分を多く必要とするため、当団体では流動砂丘の緑化にはあまり用いていない(現在試験中)。しかし、耐塩性にとても優れているので、その特長を生かした緑化ができる。砂漠の村ではよくこの幹で作った籠を見かける。
タマリスク
沙棘
(サージー)
グミ科
サキョク属
樹高1〜5m(品種によっては10m)
耐乾・耐寒・耐砂性などに優れた中国全域に分布する落葉樹。葉は線形〜線状披針形で、特有の鱗片状の毛が葉や枝にある。枝には硬い刺があり、家畜の侵入を防ぐため有効な生垣となる。実は枝にびっしりと付き栄養価が高く、日本でも健康食品として注目され始めている。見かけは「ピラカンサ」によく似ている。根には根粒菌が付き、空中窒素の固定をし土壌を肥やしていく。また、根が水平によく伸び発達した根系を形成し、さらにその根から新しい個体が地上に出る(根萌芽)能力があるため砂漠緑化の先駆植物として用いることができる。刈り込みにも強いので、薪や飼料として使うこともできる。切り株からはよく萌芽する。
この植物の特徴はやはり根粒菌を持つ点である。根を少し見ただけでも根粒菌が大量についていることがわかる。根粒菌の量はマメ科植物よりも多い。こういった植物を流動砂丘に植えることができれば、土壌が肥えていき新しい植物の育つ環境を形成することができる。しかし、砂漠緑化優良植物とされながらも、意外と流動砂丘の中では植栽されていない。現在は荒地や砂漠化が心配される地域を中心に植栽されている。当団体ではこの植物を流動砂丘の緑化に使える方法を確立し、広めていきたいと考えている(現在試験中)。この植物の実は非常に栄養価が高く、日本では健康食品としてのブームの兆しがある。特にジュースや油は身体に良いとされ中国国内でも漢方として用いられている。このことを考えると換金植物としての役割も十分考えられ、流動砂丘への植栽技術が確立できれば緑化は意外と早く進む可能性がある。
檸条
(ニンティァオ)
マメ科
ムレスズメ属
樹高1〜5m
耐乾・耐暑・耐寒性などに優れた中国北部全域に分布する落葉樹。偶数羽状複葉の形をとり、葉軸に6〜8対の小葉をつけ一枚の葉を形成する。根に根粒菌を持ち、土壌改良の役割をする。砂地でも生育でき、根を良く伸ばし、風食に耐えることもできる。枝にはたくさんの刺を持つ。植栽4〜5年で地上部をある程度刈り取ることにより切り株から旺盛に萌芽枝が出てくる。萌芽更新をすることにより株はより大きくなり、刈り取ったものは燃料や使用として用いることができる。
流動砂丘内より砂漠化の進みそうな地域で多く植栽されているのを見かける。特に過放牧が原因と見られる草の少なくなった荒地に、何本もの帯状に植えられているところが多い。5月には黄色いたくさんの花を付けとても綺麗。種子は比較的大きく、数も多いので容易に採種することができる。流動砂丘内を草方格で固定し、その中で生育させることもできるが、株があまりにも大きくなるので密植させると枯死の原因となる。
小葉錦鶏児・中間錦鶏児・毛条他
羊柴(楊柴)
(ヤンツァイ)
マメ科
イワオウギ属
樹高1〜3m
耐乾・耐暑・耐寒性などに優れた中国西北部地域に分布する落葉樹。マメ科植物の特徴である根粒菌を根に持ち、空中窒素の固定をし、土壌を肥やしていく。根系がよく発達し、その根から新しい個体を出し繁殖する(根萌芽)。葉は奇数羽状複葉の形をとり、葉軸の先端に一枚の小葉があり、側方に偶数枚の小葉が付き、これらをまとめて一枚の葉とする。一般的に一枚の葉に小葉を9〜17枚つける。生長のよいものは3年生で主根が1m以上の深さに伸び、根の広がりの幅は9mに達する。葉や枝は密に短い絨毛で覆われ、乾季には一部の葉を落とすこともある。葉がなくても緑色の葉軸や枝が光合成を行い養分を供給する。牧草としての価値が高く、タンパク質中の必須アミノ酸含有量が多く、栄養価が高い。乾燥に強く流動砂丘内でも生育できるが、直播の場合はトビネズミの食害を受けることがある。
流動砂丘の緑化にはとても有効な植物。直播・苗両方試したが、やはり苗の方が確実性がある。1年生の苗を植栽したものは1年で高さ60cm、株の大きさが直径60cm程度まで大きくなった。直播でも発芽するが、雨期をはずすと発芽率はかなり落ち、8月以降に蒔いたものは越冬ができないことが多かった。この植物や草本の沙打旺により流動砂丘を覆うと、落ち葉などにより数年でかなり地面の様子の変化が見られる。経験上、比較的条件の良い砂丘に近い荒地で1年生の苗を作り、その苗を春先(3月下旬から4月中旬)に流動砂丘に施工した草方格内に植栽すると、驚くほど緑化が進んでいく。ここ数年、種子の値段が急騰し、5年前の3倍以上の価格となった。
塔落イワオウギ・蒙古イワオウギ他