砂漠緑化に対し、適した植物とそうでない植物があるのは当たり前のことです。全ての植物が適しているのであれば、そこはすでに砂漠ではなく森林あるいは草原となっていることでしょう。
 内蒙古自治区に位置する庫布其(クブチ)砂漠は中国の中でも北側に位置し、耐乾・耐暑性に加え耐寒性が必要となります。また、土壌がアルカリ性であることを考えると耐塩性である必要もあります。このことを前提に考えると、数多くある植物の中でもこの地に適した植物というのはごく限られたものになります。
 ここでは当団体が今までに砂漠緑化に使ってきた植物やこれから使っていこうとしている植物を中心にご紹介します。植物図鑑等で紹介されている内容に加え、私たちの経験に基づく感想なども載せていきます。
 活動を続けていくに従い、扱う植物の種類も増えていきます。その際は随時更新していきます。また、皆様でこういった植物を扱ってみたらどうか?といったご意見もお待ちしております。いずれにせよ、このページが砂漠緑化技術の向上にお役に立てればと思っております。
当団体が行っている庫布其砂漠流動砂丘緑化地域の基本的な気候・土壌条件
地中水分 年間最低
気温
年間最高
気温
年間平均降水量 土壌PH
平均地表より50ミリ地下より水分がある −35度(1月) 40度(7月) 150〜350ミリ 7、5〜8、5
写   真 一般名 科・属 説   明 経 験・感 想
代表品種
ポプラ ヤナギ科
ハコヤナギ属
樹高10〜15m、最高30m
耐乾・耐暑・耐寒性などに優れる中国北部全域に分布する落葉樹。中国三北地区(東北・華北・西北)の緑化に最も多く利用され、街路樹や防風林としてもよく使われる。成長が早い。
挿し木で容易に苗木を作ることができ、苛酷な環境に耐えることができるので、現在多くの緑化団体がこの木を中心に緑化活動を進めている。しかし、この種で森を作ることは放牧地や畑を狭くすることにつながり、場所によっては地元民に歓迎されず、逆に伐採されたりすることもある。当団体は防風・防砂林として利用している。流動砂丘でも密植しなければ潅水しなくても育つが治砂をするのが条件。
小葉楊・新疆楊・青楊他
障子松
(ショウジマツ)
マツ科
マツ属
樹高15〜25m
耐乾・耐風・耐寒性などに優れる常緑樹。黒龍江省北東部・吉林省・内蒙古自治区に分布。−50度でも枯死しない。標高1000〜1200mに多く分布。
3年〜5年生の苗を土のついた状態で植える。比較的乾燥に強いようだが、流動砂丘内では活着は難しく、植林後も潅水が必要。当団体ではほとんど砂丘内では植林せず、フフホトの北に位置する大青山の岩山に植栽した。水分確保のため大きな穴の中に植栽するため、かなりの労力を必要とする。また、植栽後の潅水は必要不可欠。無潅水だと8割以上が枯死する。

(ニレ)
ニレ科
ニレ属
樹高8〜15m
耐乾・耐暑・耐寒性などに優れる中国三北地区に分布する落葉樹。耐塩性がありアルカリ土壌でも育つ。種子を多くつけるので、条件の良い地域では実生で増えていくこともある。
当団体ではこの種をあまり多く植林したことはないが、砂漠やはげ山などでよく見かける。砂丘の中でも育つといわれているが、まだ試したことはない。大青山の河川敷で実生から育ったものを防風林用に移植したところ特に問題なく生育した。河川敷に生えているものは、大雨により流されることがよくあるので、無駄にしないためにもこの方法は有効と思われる。
白楡・旱楡他
沙棗
(スナナツメ)
グミ科
グミ属
樹高5〜15m
耐乾・耐暑・耐寒・耐塩性などに優れる落葉樹。成長が比較的早く根粒菌が共生し、土壌改良の働きがあるため砂漠の緑化によく使われる。枝葉は家畜の優れた飼料となり果実はトウモロコシなどに近い栄養分をもつため、食用や酒の原料として使われる。花は開花期が長いので蜜源植物にもなる。
当団体では2004年度はじめてこの種を植栽した。活動当初より興味はあったが苗木に出会うことがなかったので植栽できずにいた。苗木はとても安価で手に入ることがわかったので、流動砂丘の先駆植物として多く利用していく予定。ただし、流動砂丘で利用できるかどうかのデータがまだ揃っていないので、これからの生長を見守っていきたい。